1939
第3回 アメリカ美術家会議展
Fig. 117. 石垣栄太郎《アマゾンズ》(1939年アメリカ美術家会議に出品された作品)
Fig.118. 石垣栄太郎《アマゾンズ》(和歌山県立近代美術館所蔵の現在の作品)
Fig. 119. 保忠蔵《桜の咲く場所》
Fig. 120. 永井トーマス《壊れた荷馬車》
Fig. 121. 鈴木盛《正義の手》
アメリカ美術家会議の年次展覧会で、日本人芸術家は静物画や風景画を中心に発表しており、石垣栄太郎以外の作家の作品には思想を反映したものはあまり見られませんでした。しかし、そのような年次展覧会の中でも1939年の第3回展は、日本人の反戦思想が表れた特異な展覧会でした。
また 『スプリング・フィールド・サンデー・ユニオン・リパブリカン』 は、この展示についてこのように報じました。
「反ファシズムの日本人の描写は展覧会の素晴らしい呼び物だ。外国人である日本人の現実の見方は常に差別に反対している。彼らの進歩的態度は立派である」
(“Artists Congress’s Third Annual Show,” Springfield Sunday Union and Republican, Feb. 12, 1939).
1939年3月、スペインでは人民戦線とファシスト勢力による内乱の末にフランコ将軍率いるファシスト勢力が勝利し、ファシスト政権が成立しました。この直後に開かれたアメリカ美術家会議の第3回年次展覧会において、日本人芸術家はヨーロッパで拡大するファシズムと日本の軍国主義を非難する作品を出品し、反戦を強く訴えたのです。