1922年 画彫会の展覧会

Fig. 7. 古田土雅堂《家庭》
Fig. 8. 古田土雅堂《街路》
Fig. 9. 古田土雅堂《地下鉄のラッシュアワー》
Fig. 10. 平本正次《ロダン》

画彫会の展覧会は、1910年代の日本美術協会の展覧会の際に批判された商業目的の東洋趣味に迎合した作品とは異なる、写実的技法やモダニズムの影響を受けた西洋画が展示されました。このようなことから、同展覧会は、当地で芸術を学んだ日本人の作品を発表し、彼らがいかに西洋画の技法を習得したかを日本人社会とアメリカ社会に紹介する意図があったのでしょう。

 

『日米時報』による批評

平本氏の『ロダン』『「ヂョフル元帥』『フォーシ元帥』の作品はともにそれ等英傑巨匠の性格英姿がよく表現せられ『ロダン』の構図技巧簡単にして力あり、趣がある。『ヂョフル元帥』は所謂『ババア』の愛嬌ある英姿が浮き立つ、処女作として佳作であるとの評。『フォーシ元帥』は荘重と気品に豊む彫刻だと思はれた。」

(無名士画伯「独立美術展覧会 雅堂、平本、渡辺、清水氏作品短評」『日米時報』1922年4月1日)

 

「多くの画家が西洋画の愛好者で、一点の絵画と一点の彫刻は東洋風である。稲葉正太郎の《聖女》はモダニズムの魅力があるが、ピンクの頬をした少女の小さなスケッチはヴィクトリア時代のようである。古田土雅堂の《交通》はキュビスムだが、《鶏小屋》、《家庭》にはタッチにユーモアがありとても愉快だ。三崎道夫の静物画は、現代風の背景に対して写真のように写実的に描かれたガラス皿の中のリンゴがあり、色彩に魅力がある」   

(“Japanese Artist’s Show”, American Art News, Nov. 8,1922)  

 

『日米時報』による批評

「多年各自の個性とその抱負とを充分に発揮した新鮮なる生気あり、趣好の向上にもその努力がみえてうれしい。懸画設置の具合も整った、近来優秀の美術展覧会であると思はれた」

(唐変木生「藪にらみの記 画彫会展覧会偶惑」『日米時報』1922年11月18日)